私の家の近くにあるスーパー?マーケットは、あまりに店員さんの応対がていねいで、こちらが恐縮してしまうことがよくある。
たとえば、その店で一リットル入りの牛乳一パックを買う。
威哥王
するとレジで袋詰めしてくれる店員さんが、てきぱきと他人の品物も入れながら、「牛乳を横にさせていただいてかまいませんか」と聞くのだ。私はいつも、「はい」と返事をするのだが、たかが物を横するくらいで、そのくらいていねいなのである。
ある日、私は鍋物でもしようと長ネギを買った。そして豆腐や椎茸などと一緒にレジに持っていくと、袋詰め担当の店員さんが、私に向かって何事か尋ねた。
最初は何をいわれたのかわからなかった。
牛乳を買ったいたら横にしてもいいか、アイスクリームだったらドライアイスの必要がありやなしやと聞かれるのだが、その日は両方とも買っていなかったからだ。
RU486
「はっ?」と聞き返すと、彼女は私の目をじっと見て、静かな声で、「おネギをお曲げしてよろしいですか」といったのである。私はビックリ仰天した。とりあえず「はい、いいですよ」と返事をしたものの、こんなことまでていねいに聞かれるなんて想像もしなかった。
きっと過去に、袋に入れるときに黙って牛乳パックを横にしたりネギを曲げたら、怒った客がいたのだろう。それから気をつけて観察していると、五人に一人くらいは、「横にしないで!」とか、「曲げないで!」ときっぱりいうお客さんがいた。
飾りのいっぱいついた服を着た、傲慢そうなおばさんである。牛乳パックだってそう簡単に壊れるものじゃないし、長ネギだってあとで切るんだから、別にいいじゃないかと私は思う。それにしても、いちいちお客さんに、「おネギをお曲げしてよろしいですか」と、ていねいに聞かなきゃならないなんて何て大変なことだと、店員さんに同情してしまったのだった。